御坊市薗の市役所北側にある御坊郵便局(久野達一郎局長)で16日、建物南側に大きな郵便マーク「〒」が描かれた。同郵便局に行こうとした認知症の人が道に迷ったことをきっかけに、認知症の人の視点からの気づきでマークの設置が実現。市が進めている認知症の人とともに築く総活躍のまちづくりの一例として、認知症バリアフリー社会の実現へ一歩前進した。

 今年3月、「道に迷ってそうな女性がいる」と介護福祉課に連絡があり、職員が駆けつけたところ、女性は「郵便局に行こうと思ったけど、いつもと違う道から来たら、分からなくて」と、たどり着けずにいた。いつもは「焼き肉さかい」側から東向きに郵便局を見ており、ポストや窓口の雰囲気から一目で分かっていたが、この日は市役所側から北向きに来たため、ポストは壁に隠れ、建物南側の壁しか見えていなかった。

 そこで市職員が「南側に大きな『〒』のマークがあれば、郵便局と認識でき、道に迷うことはなかったのでは」と認知症の人の視点から提案。市内郵便局と「高齢者等の見守りに関する協定」を結んでいることもあり、4月12日に市内の郵便局長らと話し合い、「認知症の人の視点」から見える郵便局の意識を共有した。

 局長らからも「確かにこの角度(南側)からだとわかりにくい」「認知症の人だけでなく、誰もが郵便局と分かるように『〒』が必要」という声があり、郵便局がマーク設置のための予算を確保した。マークの大きさは1・8㍍四方。「豊かな明日へ… 御坊郵便局」の文字も見やすくした。

 マーク設置に久野局長と御坊財部郵便局の武井寿樹局長は「こういう視点はなく、ご意見をいただき、ぜひやりたいと、市内8局ワンチームでプッシュした結果、会社の理解もあり、見やすく分かりやすくなった。このような気づきからお役に立つことができてうれしい」。市担当者は「認知症の人の視点からの気づきが『認知症バリアフリー社会』を実現していくと実感しており、また、バリアフリー実現には市民や企業などの皆さんの協力があってこそ。今回は御坊をはじめ市内郵便局の皆さんがご尽力くださり、マーク設置を実現してくださったことに大変感謝します」と話している。

写真=南側に郵便マークが描かれた御坊郵便局