農や食、環境への思いや体験をつづる第47回毎日農業記録賞(毎日新聞社主催、JA全中など協賛)が発表され、県内から一般部門で御坊市熊野の農業大藪和晃さん(36)の「価値あるもの」、高校生部門で南部高校3年、山本葉月さん(18)=田辺市=の「将来につなぐ商品開発」が優良賞に選ばれた。大藪さんは施設栽培、山本さんは加工品づくりなどを通して魅力ある農業への思いを文章に込めた。
大藪さんは、8年間勤めたJA紀州中央(現JA紀州)を退職し、30歳で就農。40㌃の鉄骨ハウスで、ハウス内の環境を一元管理、制御するシステムを導入してミニトマトを栽培。「100年後に生き残れる農業」を目指し、生産性の向上や安定供給のための設備投資、家族の犠牲で成り立つ家族農業から脱却を図る組織体系づくりに現在取り組んでいる。そうすることで自身が「価値がある」と考える時間を捻出し、視察や勉強会などに出かけ、知識を蓄え、新しい仲間に出会ったり、家族、友人との関係を大切にしていることなどをつづった。
受賞については「将来生き残るために必要な競争力を評価してもらえたとうれしく思う。家族の協力に頼らない、職業としての農業を確立することが目標なので、まだまだ道半ば。子どもが継ぎたいと思える『価値あるもの』を作り上げ、かっこいい農業を実現したい」と笑顔を見せた。
山本さんは祖父母が農業をしており、食と農園科に興味を持ち、進学先に選んだ。1年のとき、トウモロコシ栽培を通じて生育の楽しさと、台風の影響で収穫できず農業の難しさも経験。2年では地域を元気にするためにUME―1グルメ甲子園に挑戦して商品開発の魅力にハマった。3年では課題研究として「ウメリンゴジャム」作りにチャレンジ。試行錯誤を繰り返し、全国農業高校収穫祭に出品した。高校3年間のさまざまな体験で感じたことを率直につづり、「将来の夢はカフェを開くこと。3年間で得た知識や技術を生かし、地域の人たちの笑顔があふれる場所をつくりたい」と熱い思いをつづった。
「いつかは地元の田辺でカフェを開きたい。地元の農家さんがつくった農産物を材料に加工品も作ってみたい。祖父母も後継者不足を心配しているので、多くの人に農業の魅力を知ってもらいたい」と話した。
写真=ハウスでミニトマトを栽培する大藪さん㊤と、仲間と作ったジャムを手に山本さん


