15日昼に広島県に上陸し、夜にかけて広い強風域を伴いながら西日本を縦断した台風10号の影響で、和歌山県内も激しい雨と風に見舞われた。日高地方でも日高川などで氾濫危険水位を超え、新たな警戒レベル導入以降初めて、速やかな避難を求めるレベル4が発令された。また、停電も起き、16日になっても復旧していない地域もある。

 県によると、いまのところ、けが人は確認されていないが、その他被害6件。日高川町鐘巻のレストラン雲水で床下浸水があった。

 今回の台風は、中心から離れた県内は風より雨の影響が大きく、降り始めからの累積雨量は田辺市の大杉、同市中辺路町の兵生、野中で800㍉、ほか同市龍神村の三ツ又や新宮市の小原谷など11地点で600㍉を超過。日高地方では日高川町寒川の小川で600㍉、小川を含む同町内6地点とみなべ町清川の名ノ内広場で400㍉、印南町の川又、由良町の畑などで300㍉を超えた。

 その影響で県内の河川は増水し、日高地方では、みなべ町谷口の南部川、印南町古井の切目川、日高川町内の日高川で一時氾濫危険水位を超え、日高川では椿山ダムの流入・放流が増加し、日高川町と御坊市が流域地区に警戒レベル4の避難勧告を発令。御坊市は御坊、藤田、野口の3地区が対象となって7カ所で最大345人、日高川町は椿山ダム下流域が対象になって14カ所で最大137人が避難した。印南町も切目川流域地区に避難勧告を発令。5カ所で計8人が避難した。

 このほか、日高川ふれあい水辺公園では藤田町藤井側のグラウンド、野口側のゴルフ場が浸水し、日高川町早藤地内、松瀬橋の下流約100㍍の日高川右岸では護岸が約50㍍ほど崩落。美浜町浜ノ瀬地内の煙樹ケ浜では川から流れてきた大量の木が約600㍍にわたって打ち上げられた。

 道路も由良町畑から広川町井関までの国道42号、大引から小引までの県道御坊由良線が一時通行止め。御坊市藤田町吉田から日高川町鐘巻、美浜町和田地内などで冠水、日高川町田尻、印南町上洞地内で崩土、みなべ町高野で路肩が崩れるなどした。

 このほか、日高地方は御坊市名田町、美浜町、日高町、みなべ町で停電が発生。美浜町三尾、日高町阿尾では、16日正午になっても復旧していない。

 御坊市と日高川町以外の住民自主避難は5町合わせて40人。内訳は美浜、日高、由良の各町が6人ずつ、印南町が3人、みなべ町が19人だった。

写真=大量の流木が打ち上げられた煙樹ケ浜(浜ノ瀬地区)