御坊市の藤田会館で29日、年金者組合日高支部よみきかせサークルはなまる主催の「故別院清先生追悼 きのくに語り寄席」が開かれた。各学校などで読み聞かせを行って「エプロンおじさん」の名で親しまれ、昨年他界した別院清さん(和歌山市)を偲んでの会。別院さんに指導を受けていた同サークル、印南町のグリムの会、読み聞かせサークルみなべが約140人の来場者に語りや群読を聴かせた。司会を務めたはなまるの中谷澪子さんは、「別院先生がまいてくださった種、私たちが芽を出させ育てていきます」と決意を述べた。
1月に「語り寄席」を予定していたが、11月に別院さんが急逝。この日に延期し、あらためて「追悼」として開催された。はなまる主催、グリムの会、読み聞かせサークルみなべ、別院さんが代表を務めていた和歌山よみきかせの会連絡会の3者が共催。
2部構成で、1部で3サークルが発表。最初にはなまるの5人が、県内各地に伝わる巨人伝説を紹介する「おびと(巨人)」を語り聴かせた。昔の農民風のいでたちで、それぞれの地域の方言を使って面白おかしく暗唱。山本真理子著「紀州ばなし」から「ばっちょ」という子だぬきの話も群読した。グリムの会は、県内在住の作家宇江敏勝著「福の子」という心温まる短編を群読。山奥の村に生まれた娘は歩くことができなかったが「福の子」として大事に育てられ、家族は無邪気な笑顔に心を癒やされていた。娘は若くして亡くなる時「大事にしていた櫛をケヤキの下に埋めて」と言い残し、ケヤキの下を掘るときれいな水が湧き出て、村人を助ける井戸になったという話で、観客は「ええ話やった」と拍手を送った。
2部は別院さんの妻で和歌山よみきかせの会連絡会代表を引き継いだ別院丁子(ていこ)さんが登場。山本周五郎著「立春なみだ橋」の舞台朗読を披露した。動きもまじえ、舞台劇のような朗読に来場者は一心に聞き入った。
別院さんが最後にあいさつし、予定していた今回の語り寄席を夫の他界でやめようと思ったが、はなまるメンバーらの熱意と「故人もきっと開催を望んでいる」との言葉に励まされて取り組んできたことを話し、「今回は通算51回目の語り寄席、第50回の記念を超えて、新しい一歩を踏み出す回となりました」と述べて、会場は大きな拍手に包まれた。
写真=紀州の伝説を語り聴かせる「はなまる」のメンバー

