昨秋相次いだ台風で甚大な被害を受け、修復工事が行われている美浜町三尾の浄土真宗本願寺派光明寺(三輪信照住職)で、町内出身の画家が地域貢献の奉仕活動に取り組んでいる。本堂内の絵の復元を終えたあと、入り口上部の真っ白な漆喰(しっくい)壁に墨で迫力のある鳳凰(ほうおう)などを描く作業を進めており、三輪住職ら関係者も「完成後は観光振興にも役立てられれば」と期待を寄せている。
奉仕活動を行っているのは、美浜町吉原出身で大阪市在住の西垣至剛(よしたか)さん(33)。町のイベントに似顔絵コーナーを出展したり、公民館子ども講座で講師を務めたりし、7月8日から京都市の法然院で個展を計画している気鋭の画家。以前から交流のある修復工事の下請け業者㈲近畿紀の国建産の坂本雅信代表から「三尾では地方創生にも取り組んでおり、伝統のある、ケヤキの木を使った立派なお寺は外国人観光客を呼び込むことにも活用できるかもしれない。日本の文化を伝える絵を描き、地域活性化に協力してほしい」と依頼を受け、2つの作業を快諾した。
鳳凰などの墨絵は本堂上部、幅約12・0㍍、縦約1・3㍍の漆喰壁に描いている。4日までに1・2×2・7㍍ほどの大きさで両サイドに1羽ずつの鳳凰はほぼ完成。今後はハスや川なども描き込み、雨風にも耐えられるよう特殊加工が施される。「空へ向かって飛んでいる」というイメージの鳳凰には尾の部分に浄土真宗の家紋を入れるなどの趣向を凝らし、墨の濃淡で立体的に表現された2羽は本堂入り口から見上げると躍動感があって迫力いっぱいに仕上がってきている。
絵の復元は本堂内本尊両脇の下部に描かれていたハスなどで、金箔と日本画で使用する顔彩でよみがえらせた。作業は先月26日から取り掛かり、本堂修復工事とともに今月末に完成する見通し。西垣さんは「お声かけいただき、本当にありがたい。こんな経験は一生に一回あるかないかのことなので、全力で完成させたい。10月にフランスへ行くことになっているので、そこでも三尾をPRしてきたい」と話している。
光明寺は約450年前に開基。木造入母屋造りの現本堂は1930年に完成した建物で、昨秋の2つの台風では天井が崩落するなど半壊の被害を受けた。修復工事は檀家の㈱玉井組(御坊市薗、三尾聖司代表)の施工で、昨年10月に着工。4月末に完成する。5月か6月には落慶法要を予定しているという三輪住職は「お寺は敷居が高く、殺風景と思っていたが、素晴らしい絵を描いていただき、人が集ってホッとしてもらえるようになれば」と期待を込めていた。
写真=西垣さんと本堂上部の鳳凰の壁画


