日高町で開かれた防災に関する現地学習会「歴史から学ぶ防災2018―命と文化遺産とを守る―」を取材した。主催は県立博物館施設活性化事業実行委員会、県立博物館。毎年場所を変えて開かれており、ことしは日高町と白浜町の2町だった◆資料集には日高・白浜両方の分が掲載。ページを繰り、「白浜町富田・飛鳥神社の津波警告板」に目が止まった。1707年、宝永地震・津波の記録である。マグニチュード8・6、東日本大震災発生以前では有史以来最大級の地震で、約5000人の犠牲者があったという。警告板には被害を詳細に記し、「毎年祭礼の時には村人全員にこの板を見せて読み聞かせよ」とある。後世へ教訓とするよう諭した警告板で、県指定有形民俗文化財となっている◆白浜町富田は母の里で、物心ついた頃から小学校時代まで毎年11月23日の飛鳥神社祭礼を見に行っていた。寝てしまった獅子を天狗が起こしにくるという物語のある獅子舞が面白く、なじみ深い神社だが、そんな警告板は見たこともなく、昔そんな恐ろしい災害があったとはまったく知らなかった。祭の日に「警告板」が読み上げられた覚えもない。しかしネットで調べると、飛鳥神社では今もちゃんと祭の際に「警告板」を読み、万一の際は山の上のこの神社へ逃げてくるよう教えられると紹介されていた。子どもの時は面白いところしか見ていなかったから知らなかったのだ◆はっきりと意識的に「伝え、教わる」ことがなされなければ記録は単なる記録で終わり、心に刻まれない。今回の学習会では、水に濡れた資料の処置など実際的でわかりやすい知識の紹介もあり、命と貴重な文化遺産の次代へのリレーを「本当に」実現しよう、との強い意志が伝わってくるようだった。(里)


