日高川町文化協会川辺分会の郷土史研究会(花光秀男会長)は30日、日高地方の戦災遺産に関するフィールドワークを行い、会員約30人が由良町の海防艦の戦場、爆弾が境内に落ちた御坊市の源行寺、B29が墜落した龍神村殿原などを巡った。殿原ではB29墜落の瞬間を目撃した古久保健さん(81)から当時の話を聞き、二度と戦争を繰り返さぬよう、歴史の真実を語り継いでいくことの大切さを学んだ。
郷土史研究会は町内川辺地区の住民を中心に約80人の会員があり、毎年、テーマを決めて講演やバスで移動する研修を行っている。本年度は昭和の戦争をテーマに、地方紙の記者らから話を聞き、この日は米軍機との戦闘で99人が戦死した由良町糸谷の海防艦の戦場と供養塔、同町大引にあった人間魚雷「回天」の秘密基地跡、回天搭乗員の少年兵が訓練中に宿泊していた旧大阪屋旅館、米軍機が投下した大型爆弾が境内に落ち、住職の家族や近所の人ら11人が亡くなった御坊市薗の源行寺、B29が墜落して米兵7人が亡くなった田辺市龍神村殿原を訪問した。
源行寺では湯川憲治住職が家族らから聞いた爆弾が落ちた際の状況、軍需物資として供出しながらも溶かされることなく戻ってきた釣り鐘(平和の鐘)などについて説明。「御坊の源行寺といえば、戦争中に爆弾が落ちた寺として知られていますが、このように皆さまにお越しいただき、平和のために語り継いでいただけることはうれしいです。これからもこのような機会があれば、できる限り協力していきたいと思います」などと話していた。
龍神村殿原では、B29墜落事件関係の資料が展示されている旧殿原小学校で、古久保さんからB29墜落の記憶、村で見つかった機体の破片、捕まった米兵捕虜のその後、戦死した米兵遺族との交流などについて話を聞いた。さらに近くの惣大明神神社そばの米兵の慰霊碑の前で、国が再び誤った道、戦争に向けて走り出さぬよう、国民一人ひとりが歴史の事実を知ることの大切さを強調。「どうか皆さんも、自分の目で耳で真実をつかみ、子や孫に二度とあんな悲惨な思いをさせないよう、ともに語り継いでいきましょう」と呼びかけた。
参加者の男性(76)は「源行寺の爆弾も龍神のB29墜落も話は知っていましたが、実際に現場を訪ね直接お話を聞くと、講演や新聞では分からないことも聞くことができ、とても有意義な一日でした」と話していた。
写真=旧殿原小学校で墜落したB29について説明する古久保さん(左手前)


