ある商品のアンケートで、「この商品を他の人に勧める気がありますか。10~0(10が一番乗り気)でお答えください」と問われ、「0」と回答したところ、数日後その会社から電話がかかってきた。「全く他の人に勧める気がないのはなぜか」。どうやら、積極的に〝クレーム〟を聞くために電話してきたようだ。商品が故障した際、無料で新品に交換してくれたので、お返しの気持ちもあって丁寧に「充電が面倒」「故障しやすい」「値段が少し高い」などと理由を説明した。

 クレームには2種類ある。「おいしくなかったからタダにしろ」などの悪質なものと、商品の改良に役立てられるもの。悪質クレームは、産業別労働組合UAゼンセンのサービス業で働く従業員3万人アンケートで約7割の人が悩んでいるとの結果があるなど社会問題になっている一方、後者は「宝の山」として企業も活用しているといわれる。筆者の場合、特に無理難題な要求をするわけでもなかったので「宝の山」に入れてもらえたかと思う。

 故三波春夫さんの言葉として知られる「お客様は神様です」。クレームをつける人は、これを〝根拠〟にする人が多いのではないか。当欄を書くに当たり調べると、お客様イコール神様、だから無茶を言ってもいいのではない。三波さんのお客様は聴衆であり、聴衆の前では神前でうたう気持ちで雑念を払って澄み切った心でなければならないということを例えたようだ。言葉も悪用されると恐ろしい。

 SNS上でも何かあるとクレームの嵐。お金を払う限りは苦情、注文の権利はあるが、お客様側も相手を敬う、相手のことを考える気持ちを持てれば、もう少し居心地のいい社会になると思う。(賀)