日高川町和佐の和歌山南陵高校(小野和利校長)は10日に第3回南陵祭で講演会を行い、戦場カメラマンの渡部陽一さんが「命を大切に 可能性を信じて」をテーマに話した。渡部さんは「戦争の犠牲はいつも子どもたち。世界中のことを日本に知らせる架け橋になりたい」と、独特のゆっくりしたしゃべりと動きで表現。生徒には「どんどん外国に行って世界を知ってください」と呼びかけた。

 最初にカメラマンになったきっかけについて、高校時代の授業でアフリカ中央部に狩猟生活している「ピグミー族」という部族がいることを知り、二十歳の時に、単身アフリカへ渡った。そこで見たのは大きな銃を持って戦う小さな子どもたちの姿。血まみれになって泣き、助けを求めて服を引っ張ってくる子どもに「助けたかった。自分に何ができるのかを考えたとき、カメラで撮って多くの人に知ってもらうこと」と語った。

 二十歳から現在までの26年間、さまざまな戦場を渡り歩き、悲惨な現状を撮影してきた。「石油をはじめ、領土、宗教、民族などさまざまな理由で戦争が起こっているが、犠牲になるのはいつも子どもたちだ」と話し、爆撃で吹き飛んだ窓ガラスの破片が顔や体に突き刺さった少女の写真などを紹介。「世界の悲惨な状況下の中で生きる子どもたちや、戦場の子どもたちが一瞬見せる笑顔、そんな姿を写真を通じて日本の人に知ってもらいたい」と語りかけた。

 戦場でのカメラマンの活動については「1人で戦場を駆け回っているイメージですが、実際は地元育ちのガイド、通訳、セキュリティーと最低4人でチームを組み、しっかり予定を立てて安全を優先して行動する。ただ『国』でないイスラム国ではそういったチームを組み立てることができない」とイスラム国での取材の難しさも語った。最後に生徒に向け「世界で活躍する人になってください。いつか外国で会ったときはカフェで国際情勢でも話し合いましょう」と呼びかけた。講演では終始、独特のゆっくりしたしゃべりとオーバーな動きで表現し、時折、観客の笑いも誘っていた。

 南陵祭ではこのほかステージや抽選などもあり盛り上がっていた。

写真=オーバーな動きを交え講演する渡部さん