秋の味覚といえば,サンマ、クリ、ナシ、カキ、新米などとたくさんある。その中でもマツタケは値段が高く数が少ないため、秋の味覚の王様といえるだろう。なかなか国産のマツタケを味わうことは少なくなったが、松茸ごはん、焼き松茸などをすると、香りがあっておいしい。正確に表現すると、ほとんど食べたことがないため、「おいしいらしい」ということになるが、なかなか口にすることはできないのが本当に残念だ。

 しかし、以前はたくさんあった。筆者が小学生の時は父親が入札した山に家族でマツタケ狩りに行ったことがある。よく生える場所だと足で踏んでしまいそうになるほどで、その当時はコンテナに何杯も採れた。減少している原因はマツタケ菌が共存するアカマツがマツクイ虫の影響などで枯れて少なくなったことなどと言われている。

 近年は、外国産がスーパーなどの小売り店で多く並ぶようになった。取り扱い量では中国、カナダ、アメリカなどの輸入産が大半で、国内産は2%程度だという。ちなみに和歌山県はマツタケの生産ランキングで長野、岩手、岡山に次いで全国4位だそうだ。

 だが、ことしは全国的に豊作で、価格も例年よりは多少安くなっているという。夏の猛暑と9月の度重なった台風による降雨が十分にあったことが影響しているらしい。紀南地方でも最盛期を迎え、市場などはにぎわいをみせている。

 国内産のマツタケを食べた記憶を思い出すと、ずいぶんと昔まで遡ってしまう。ことしは豊作で例年よりも多少は安値とはいえ、まだまだ庶民にとっては手が届かない高嶺の花。昔に味わったあの国産の松茸ご飯が食べられるのはいつの日になるのやら…。(雄)