大阪府警富田林署から逃げ出した男が、49日ぶりに山口県で逮捕された。逃走中はひったくりや万引きを繰り返したとされるが、過去には放火や強制性交などの罪でも逮捕・起訴されており、今回大きな犯罪につながらなかったのが不幸中の幸い。この男が有能なのか、捕まえる方がどんくさいのか。いずれにしても富田林署の面接室からの逃走を許したこと自体が、大失態であろう。

 先日、とある店で衣類を万引きした女を店員が発見したというお手柄話を聞いた。女は複数の衣類を試着室に持ち込んだが、出てくる時に店員が「数が足りないのでは?」と感じたため警備員に連絡。その女がまだ周辺を歩いているのを見つけ、店員と警備員が、女から離れた場所で顔を確認した。ここまではいい。

 このあと、警備員から連絡を受けた警察署員がやってきて、女に同行を求め、万引きした物を確認。その際に店員も付き添わせたという。最初はしらを切っていた女と店員が「盗ってない」「盗った」で半ば口論のようになる中、ようやく女がかばんから衣類を取り出して決着した。

 その女からすれば、警察に通報したであろう店員のせいで自分自身が捕まったと、逆恨みをしないだろうか。女はその店員の顔をしっかり覚えたことだろう。万が一、腹いせに報復に来たりはしないだろうか。

 捜査上の専門的なことは分からない。しかし、万引きした物を確認するために、女と店員を引き合わせる必要はない。別の場所ですればいいだけ。ささいなことがきっかけで殺人事件も起きる時代。これでは勇気を出して万引きを通報することもできない。(吉)