劇団RAKUYUの第13回公演「ブンナよ、木からおりてこい」は「飢餓海峡」などで知られる水上勉が原作である。で原作本を取り寄せて読んでみると、子ども向けに肩の力を抜いて書いた気配などまったくなく、むしろ子どもに自分の心を伝えるため全力投球で執筆しているような熱量が感じられる物語だった◆大まかにいうと、木登りの得意なカエルの子ブンナが高い木のてっぺんのトビの餌置き場まで登り、死に直面した小動物の様子を見つめて自然界の弱肉強食の過酷さを知る。春になり木を降りて自分の世界に戻り、命の素晴らしさをかみしめる◆RAKUYU公演での見どころの一つが、この小動物たちだった。死ぬのが嫌だと素直に泣きわめく雀。達観したようなことを言ってもいざとなると取り乱すモズ。普段から皆に恐れられ、最期が近くなっても他の者をおどすヘビ。弱さをさらけ出しながらも最後には自分の良心を守るネズミ。主人公のブンナをはじめ小中学生会員の演じるカエルの子どもたちを、演技でしっかり支えていた。子ども会員と大人会員の演技の調和が、テーマである生と死、生命や心が世代を超えて受け継がれることを象徴しているようにも思えた◆木から降りたブンナが他のカエルと一緒に人間につかまる展開は原作にはないが、ここで子ガエルたちは頼もしく成長を見せ、協力するという知恵を出す。最後に自由になったカエルたちがうたう歌は水上勉の原作にもある。「生きてる今日をうたわなきゃ 昨日のことが悲しいよ」。ブンナとは、釈迦の弟子の一人の名だという◆日常生活の中で、生と死の問題に軽々しく触れる機会はあまりない。小説や演劇などの「物語」が、その深みに向き合う経験を与えてくれる。(里)


