2010年に小惑星イトカワの物質を地球に届けて燃え尽きた、小惑星探査機「はやぶさ」。そのプロジェクトに構想段階から携わったJAXA特任教授、日高川町出身の圦本尚義さんが美浜町ではやぶさ2について講演した◆初代はやぶさは「世界で初めて、小惑星の物質を地球へ持ち帰ることに成功した」という大きな実績を残した。ある種、象徴的な偉業である。後継機のはやぶさ2は、さらに実用的な使命を担っている。イトカワとは違い、水とアミノ酸の存在が予測される小惑星「リュウグウ」へ赴き、生命のふるさとが宇宙にあるのかどうかを探る手がかりという「玉手箱」を携えて2020年冬に帰還する◆講演では、「もしかしたら水は存在しないかもしれない」という、最近のデータからの推測についても述べられた。はやぶさ2は2014年12月の打ち上げから3年半かけて6月27日にリュウグウに到達したが、今の地点からは水が確認できないのだという。それでも、予想より暗く見える外観といい、未知の天体にはまだ地上の誰も見たことのない、完全に未知の物質があるかもしれない。「非常に楽しみ」だと圦本さんは言われた◆「未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅人である」という湯川秀樹博士の言葉を思い出した。「地図は探求の結果できるのである。目的地がどこにあるか、まだ分からない。もちろん、目的地に向かって真っ直ぐな道などできてはいない」――「知りたい」「確かめたい」という子どものような純粋な好奇心は、時として人を動かす大きな原動力になる◆12月8日には、星めぐりの会主催でかわべ天文公園を会場に再び圦本さんの話が聴ける。昨年は実現しなかった望遠鏡の観望とともに、今から楽しみにしている。(里)


