由良町が本年度から旧白崎中学校内にオープンしたゆらふるさと伝承館に、全国各地の小絵馬が展示されており、話題となっている。ゆら語り部クラブ代表の大野治さん(80)=里=が各地を訪れた際に購入し、町に寄贈したコレクションで、その数なんと314点。ユニークな絵馬から年代ものの貴重な一品まで、壁一面にずらりと飾られている。
 旧白崎中では、以前から虚無僧や明治時代の地元出身実業家由良守応氏関連など、同町ならではの貴重な文化資料が保管、展示されているが、町では総合戦略の一環で貴重な文化資料を後世に残し、郷土の文化を伝承していこうと、新たに伝承館の設置と管理の条例を制定。教育委員会の許可を受ければ、無料で見学できるようになっている。原則的に土、日、祝日が休館となっているが、今月13、20、26日は特別に開館。親子連れや地元ジュニアリーダーらが見学に訪れた。
 全国各地の小絵馬は、大野さんが役場職員時代の1965年(昭和40年)ごろから旅行や研修、自身が所属する写真クラブの撮影会で各地の寺社などを訪問した時に買い集めた。自宅に飾っていたが、各地域の特色が残る資料として残してもらおうと、2011年夏、町に寄贈。旧白崎中で保管され、知る人ぞ知るコレクションとなっていたが、今回、伝承館としてオープンしたことで脚光を浴びている。
 大野さんは町職員時代は公民館長を務め、地元の歴史にも造詣が深いが、全国各地の歴史や風習などを表した特徴ある小絵馬に興味を持ち、コレクションすることに。日高地方では興国寺や宇佐八幡、衣奈八幡神社、道成寺、小竹八幡神社、美人王子(塩屋王子神社)、県内では救馬渓観音(上富田町)、熊野本宮大社(田辺市本宮町)などの絵馬がある。ほか、東北、関東、中部、四国、中国、九州など地方別に展示し、西国三十三所巡りの絵馬も。それぞれ天狗や龍、馬、お多福、矢、だるまなどの絵が描かれ、車の形をした交通安全祈願の一枚や「め(目)」の一文字だけを書いたユニークな絵馬も。珍しい見返り阿弥陀如来(京都府京都市・永観堂)や裸弁財天(神奈川県藤沢市・江島神社)の絵入りや横23㌢×縦20㌢の大型の絵馬(福岡県福岡市・筥崎宮=はこざきぐう)などもあり、中にはもう製造しておらず、手に入らない貴重な一品も。
 見物に訪れた地元の主婦らは「各地域の特色がよく表れており、すごいお宝ですね」と話していた。大野さんは「私たちの地元にもたくさんの種類の絵馬があるのがうれしい。展示された絵馬を見ると、訪問した当時の思い出がよみがえります」と笑顔をみせていた。