大阪桐蔭(大阪)の36年ぶり史上3校目となる春連覇で幕を閉じた第90回記念選抜高校野球大会。県勢の智弁和歌山も本当によく頑張った。上位2校は最後まで諦めない姿勢だけでなく、チームワークが光っていたと思う。
 準々決勝、準決勝と2試合連続5点差をはね返して決勝進出を決めた智弁和歌山。特に印象に残っているのが、東海大相模(神奈川)との準決勝である。1点リードされた6回の守備。無死から四球で走者を出し、2失策で簡単に2点を追加された。なおも2死から適時失策があり、試合の流れを完全に譲ったかに見えた。だが、ここから智弁和歌山ナインはすごかった。直後の攻撃で1点を返すと、8回に4長短打を集めて試合を振り出しに戻した。ミスをしても、みんなで取り返す。全員野球の場面だった。和歌山大会で取材していると、失策を記録してもベンチからは「ミスはある、その次、そのあと」と声が飛ぶ。きっちりとカバーリングができているか、次のプレーにどうつなげていくか、常にみんなでばん回しようとする意識を持っていることが、劇的な逆転勝ちを生んだのであろう。
 大阪桐蔭も同じ。プロ注目選手がそろうが、チームのモットーは何度かこのコラムで紹介した通り「一球同心」。全員野球だ。こちらも実際に取材した試合で気がついたのは、ベンチの選手もグラウンドへ出てプレーしているかのような集中力を持って試合に参加していたことだった。9人だけでなく41人の力が一つになったからこそ、偉業を成し遂げられたのだろう。
 レギュラーだから、ベンチにいるから、そんな気持ちを持っていればチームワークは発揮できない。見習うべきところである。(賀)