美浜町の防災講演会があり、民間災害ボランティア団体「紀州梅の郷救助隊」の尾﨑剛通隊長(69)=みなべ町西岩代=の講演を聴いた。記事にできなかったところをいくつか紹介したい。
民間にこだわるのは、平等、公平が求められる行政と違い、助けを求めている人たちの多様な要望に応えられることができるからという。活動資金は会費(年間3000円)や寄付でまかない、隊員数は150人もいる。救助隊というと、捜索活動やがれき撤去などの活動が真っ先に浮かび、体力に自信がなければ入れないと思われるが、そうでもない。「心のケア」では女性が力を発揮する。炊き出しのときには「よろしければお手伝いください」と声をかけて一緒におしゃべりしながらの作業で心と心を触れ合わせられるし、「関西から来たので味付けも違うと思うので」などの言葉を添えれば思いやりの気持ちを感じてもらえるようになる。交流を通じて落ち着きを取り戻すきっかけになる可能性もある。
「正常化の偏見」との災害心理学用語も紹介。意味は「目の前に危険が迫ってくるまで、その危険を認めようとしない人間の心理傾向」で、東日本大震災の津波を例に説明した。さらに「大勢が同じこと(逃げない)をしていると自分だけ逃げるのは恥ずかしい」といった〝同調の偏見〟に注意を呼びかけ、「みんなが逃げなくても先頭を切って逃げる人」になるよう訴えていた。
聴いて、見て、考えて、行動して、何らかの成果を出す。何をやるにしてもそのサイクルが大事だが、防災ではとくに「考えて」から先が大切。貴重な講演、感じ方はそれぞれだと思うが、今後の防災力向上に生かさなければ意味がない。(賀)

