NTTドコモは20日、日高川町川原河の川上診療所と和歌山市の県立医科大学の間で構築されている遠隔医療支援システムで、次世代移動通信システム「5G」の実証試験をスタートさせた。実際に患者を使った医療システムでの試験は全国初。4K画質モニターのテレビ電話等でスムーズなやり取りが行われ、超高速通信の性能を確認した。
 5Gは現行の4G(LTE)に次ぐ第5世代の移動通信システム。通信速度は最大10Gbpsで4G(2010年当時)に比べて100倍以上に高速化。無線でありながら有線の光ファイバー並みの高速インターネットが可能になるとして期待されており、2020年の実用化を目指し、総務省の主導の下、研究開発が進められている。
 川上診療所と県立医科大との遠隔医療支援システムは、ネット回線を使って専門的医療が必要な患者を、医大の医師がテレビ電話などを通じて診療するシステムで、2年前から開始。普段は有線のインターネット回線を使用している。
 試験は普段の医療支援システムの機器がある部屋とは別の部屋で行い、5Gでつないだカメラや4Kテレビなど新たな機器を設置して行った。初日は一般患者の受け入れを前に模擬患者でデモンストレーション。心臓病の疑いがある男性患者が来院したと想定し、診療所の若手医師が医大の医師から指示を受けながらエコーを撮ったり、口腔内の撮影を行った。
 県立医科大で対応した循環器専門医の山野貴司医師は「映像がかなり鮮明で、患者がそばにいるかのように診察することができた。若手医師のサポートにも活用できる」、川上診療所で対応した国保野上厚生総合病院(紀美野町)の川端大輝医師は「リアルタイムで専門医の話を聞けるのはありがたく、若い医師にとっても心強いと思う」、試験に同席した川上診療所の平林直樹医師は「普段よりタイムラグが少なくスムーズにやりとりすることができた。大きな病院への通院が難しい高齢者が多いので、負担軽減につながる」と話し、さらなる活用に期待を込めていた。
 今回の試験では川上診療所がある保健福祉センター3階に大きさ約1㍍四方の5G端末を設置し、約200㍍先にある5G基地局との間を無線でつないで行った。実用されるころには5G端末はスマートフォンやタブレット端末などに内蔵されるくらいに小型化するという。
 実証試験は3月6日までの数日間。初日から実際の患者の診察も行われた。