自殺を未然に防止したとして田辺署は14日、南部タクシー田辺営業所(本社・みなべ町)のタクシー運転手榎本正晴さん(56)=田辺市秋津町=に感謝状を贈呈した。昨年12月に紀伊田辺駅から乗車した海南市の40代男性の言動などを不審に思い、自殺をやめるよう説得。同署に連絡するなど適切に対応した。榎本さんは「命が救えてよかった」と振り返った。
 昨年12月17日午後4時ごろ、紀伊田辺駅から暗い表情だった男性を乗車させ、目的地を聞くと「三段壁」と伝えた。榎本さんは「冬場で日が暮れるのも早いのにこの時間から観光で三段壁に行くのはおかしい」と思い、男性と話をしてみると自分の病気のことで悩んでいる様子で、「生まれ変わって新しい体をもらいたい」などと打ち明け、過去に手首を切った跡も見せた。榎本さんは親身になって話を聞き、目的地だった三段壁に行くのはやめて最寄の新庄駐在所に行き先を変更。駐在所の署員が不在だったため、駐在所の電話から田辺署の本署に連絡し、駆けつけた署員に事情を説明。迅速適切な対応で自殺を未然に防ぎ、人命救助に大きく貢献した。
 感謝状の贈呈は同署で行われ、森昇治署長から手渡された。榎本さんは「タクシーの運転手として勤務したのは昨年1月からで、今回のようなケースは初めて。車内で7、8分の出来事だったが、命が救えてよかった。これから元気に暮らしてもらいたいです」と振り返り、同席した田辺営業所の竹邉正和所長(62)は「対応の判断が難しいような場合は警察などに相談することを普段から指導していることが生かされた。ドライバーの榎本さんの対応もよかった」と話した。森署長は「適切な対応で尊い命を救い、人命救助に貢献していただいた」とたたえた。