みなべ町山内、紀州南部ロイヤルホテルで23日に世界農業遺産に関するワークショップ「東アジア農業遺産の保全・活用活動のモニタリングと評価の手法」が開かれ、日本、中国、韓国の有識者がパネルディスカッションなどで意見を交わした。3カ国がそれぞれ農業遺産の取り組み内容を発表し、情報を交換。8月に同町で開かれる第5回東アジア農業遺産学会に先駆けて交流を深めた。
 国連大学サステイナビリティ高等研究所主催、みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会が後援。農業遺産の関係者ら約80人が出席した。第1部「世界農業遺産のアクションプランの実施」では、国連大学上級客員教授の武内和彦氏、中国科学院地理科学・資源研究所教授のミン・チンウェン氏、韓国協成大学校教授のユン・ウォングン氏の3人が基調講演を行った。武内氏は「世界農業遺産におけるモニタリングと評価の重要性」をテーマに語り、「環境・生物多様性の保全だけでなく、経済的、社会的なメリットも必要」と指摘したうえで、モニタリングについて「世界農業遺産を認定するFAO(国際連合食糧農業機関)でも、モニタリングの重要性は高まっていると考えられている。東アジア共通の指標も考える必要があるのではないか。責任の分担を確立して行うことが大事」と語った。ミン氏は「中国では91カ所が農業遺産に認定され、うち15カ所が世界農業遺産に登録されている。モニタリングについてはオンラインを活用し、報告される仕組みがつくられている」と述べ、ユン氏も「韓国では農業遺産と漁業遺産に分けて認定される。農業では9地域、漁業では5地域が認定され、世界農業遺産にはうち3カ所が登録された。活用や保全に対しては政府から補助金が受けられる」などそれぞれの国での取り組みを語った。
 第2部では「生物多様性の保全を中心とした農業遺産のモニタリングと評価の実施」についてパネルディスカッションが行われ、中国科学院地理科学・資源研究所助教のジャオ・ウェンジュン氏、韓国農業村公社部長のパク・ユンホ氏、国連大学研究員のイヴォーン・ユー氏、和歌山大学教授の養父志乃夫氏の4人の有識者が意見を交わした。モデレーター(司会)は国連大学シニアプログラムアドバイザーで東アジア農業遺産学会日本事務局長の永田明氏、コメンテーターは金沢大学客員教授で東アジア農業遺産学会日本議長の中村浩二氏が務めた。養父氏は「『みなべ・田辺の梅システム』とアクションプランの達成に向けた取り組み」として地元の取り組みを説明し、薪炭林、梅畑、ミツバチなどが関わっている農業の仕組みや防災システム、人々の暮らしなどを紹介した。
 世界農業遺産は19カ国45地域で登録され、みなべ・田辺の梅システムは2015年12月に認定。昨年には宮城県大崎地方の水田農業地帯「大崎耕土」が登録を受け、国内では9地域となった。