日本人の平均寿命は女性87・14歳、男性80・98歳で女性は4年連続、男性は5年連続で過去最高を更新した(厚生労働省発表)。寿命はもちろん、最近は健康寿命を延ばすことが重要視されている。健康等の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことで、健康寿命を延ばすための運動や食事は盛んに言われている。この寿命というものについて、つい最近初めて聴く言葉があった。「幸せ寿命」である。健康寿命ほどの認知度はまだないが、これから広まっていきそうな言葉である。
 支援や介護が必要になったり、日常生活が制限されるようになったら、健康寿命を延ばしましょうとは言いづらくなる。そこで生まれたのが幸せ寿命で、笑って生活できる期間のことを指す。先日、認知症支援で全国先進地といわれる福岡県みやこ町の地域包括支援センターの職員が御坊市で講演した中で言われていた。病気であろうと、自宅ではなく病院や施設での生活であろうと、笑って過ごせるのは幸せなこと。寿命と幸せ寿命の差をできるだけ小さくすることを意識して活動しているという言葉が印象に残った。
 寿命や健康寿命と、幸せ寿命に決定的な違いが一つある。寿命や健康寿命は自分自身の心がけや行動によって変わるが、幸せ寿命は周りにいる支援者によって大きく変動する。支援を受けている高齢者や認知症本人からすれば迷惑をかけまいと、言いたいことを我慢することが多いという。わがままを言える支援者が身近にいれば、本人にとっての幸せ寿命はぐっと延びるだろう。幸せ寿命という言葉には、「高齢者や認知症支援は地域ぐるみで」という意味がぎゅっと詰まっている。     (片)