2月9日、児童文学作家の佐藤さとる氏が亡くなった。享年88歳。筆者にとって初めて好きになった作家だった
最初の出会いはコロボックルシリーズ。近年、人気作家有川浩が引き継いで話題となった作品である。何度も何度も暗唱できるほど読んだ。図書室で他の著作も借りた。3㌢ほどの小人が活躍したり赤ん坊がタイムスリップしたり、わくわくする世界が作品の中にはあった
中高生の頃は離れていたが、20歳の頃、大学のサークル仲間の影響で再び手に取った。一人暮らしを許されず、奈良の吉野から京都へ毎日片道3時間かけて通っていた彼女は、合宿地の信州で深い緑や渓流を眺め「こういうの一日中でも見ていられる」と言った。それが印象に残りいろいろ話すと彼女も佐藤さとるが好きだという。文庫でたくさん出ていると教わり、久々に再会した
大人の目で読むと、ファンタジーでありながら現実世界が確かな筆致で的確に描かれているのがよく分かった。「ジュンと秘密の友だち」では、小3の主人公が自分の小屋を作るのだが、材料を集めるところから設計図を描き作業に取り組むところまで、目に見えるように具体的に書き込まれる。両親がジュンを信頼し任せる様子、サポートすべきところはする様子も描かれ、大人こそ読むべき作品かもしれないとも思える。戦前の横須賀が舞台の「わんぱく天国」では少年達が「人が乗れる模型飛行機」を作るのだが、完成に至るまでの試行錯誤も実に詳細で胸が躍った
現実をしっかり見つめるまなざしに強靭な想像力が加わると、生きることを楽しめる。その力を育む秘密が「お話」にはある。たくさんのお話と出会ってきたが、その初めの一歩を導いてくれた作家だった。 (里)

