海難救助に功績があったとして、田辺海上保安部は6日、日高川町松瀬の農業、中村晃太さん(31)ら3人に感謝状を贈った。3人は1月20日にすさみ町の磯で海に落ちた釣り人の救助で活躍。現場近くで釣りをしていた中村さんは迅速な118番通報で貢献し、釣り人が無事救助されたことや感謝状に笑顔を見せた。
 感謝状を受けたのは中村さんのほか、すさみ町の渡船業、岩元秀行さん(57)、谷口整三さん(55)で、同部によると1月20日午前8時ごろ、すさみ町の磯で、大阪府河内長野市の男性(39)が打ち寄せた波にさらわれて海に転落。近くで釣りをしていた中村さんが118番通報した。田辺海上保安部から要請を受けた岩元さんが所有する船で谷口さんとともに急行し、転落現場から沖約100㍍の海上で救命胴衣を着けて漂流していた男性を発見。船の上に引き揚げ、周参見漁港で救急隊へ引き渡した。男性は一時、心肺停止の状態になったが、その後、回復している。
 和歌山市出身で高校時代ヨット部に所属していた中村さん。子どものころから釣りが好きで、その日は青魚を狙って1人で訪れていた。現場となった磯は2回目で、当時は男性と2人だけ。事故が起きる前から注意を呼びかけるとともに、発生後はルアーを投げ入れて救助を試み、高校時代の経験から男性に対して「落ち着いてください。泳がないでください」と懸命に声をかけたという。
 田辺港湾合同庁舎での授与式では、川上誠部長が3人に感謝状を手渡し、「5分か10分遅れていたら命に危険が及んでいた。118番は知名度が低く非有効が多いなか、よく迅速に通報してくれました。その後の出動、救助まで官民が一体となった地域連携のたまもの」と感謝。中村さんは事故当時について「男性がパニックにならず落ち着いていれば大丈夫だろうと思いました。わりと冷静に対応できました」と振り返り、「こんなことは初めて。命を取り止めたと聞いて本当によかったと思いました」と話していた。