昨年1年間に全国で自殺した人数は2万4025人(男性1万6681人、女性7344人)だったという。前年に比べて1402人(5・5%)減少したものの、交通事故死者の6倍となる。国際的にみても高い数字。動機が特定できた1万7981人のうち、健康上の問題が1万2145人でもっとも多く、次いで経済・生活面の問題が4082人だという。
 先日、南部長寿大学で行われた講座で、県立医科大学社会精神医学博士の岡檀さんが講師を務めた。演題は「心の弾力をきたえる」とし、日本一自殺が少ない徳島県の旧海部町(合併で現在は海陽町)にスポットを当て、同町の住民の考え方などが紹介された。
 自殺が少ない町と聞くと、豊かで住民が生き生きと生活しているように思えるが、実はそういうことではなく、人々の価値観に秘密があるらしい。トラブルを抱えて悩んだ時は自分1人で解決しようとぜず、周りに打ち明けるという考え方を持っていることが大きな要因となっているという。周囲の人たちも、取り返しのつかないようなことになる前に相談してほしいという考え方だ。地元では「悩みやトラブルはオープンにしなさい」という意味の「病は市に出せ」ということわざもあるそうだ。
 人間、生きていれば嫌なことに何回も直面する。それを回避しようと、自分だけの力でなんとか解決しようとしてしまいがちだが、場合によってはさらに事態を悪化させてしまうこともある。誰でも職場、家庭、学校生活などで大なり小なり、悩みやトラブルを持っている。「人に迷惑かけたくない」という固い日本人的な考えより、「打ち明けてしまえば、誰かが助けてくれるだろう」という緩い気持ちを持つことも必要だろう。  (雄)