御坊市は30日、国のモデル指定を受けて策定に取り組んでいる「国土強靭(じん)化地域計画」の素案を発表した。素案では「南海トラフの巨大地震」と「100年に一度の大雨による日高川の氾濫」を想定。建物倒壊による多数の死者、感染症等の大規模発生、ため池決壊など「起きてはならない最悪のシナリオ」と、回避するために必要な施策を盛り込んでおり、災害に強いまちづくりへ具体的な事業実施の指針としていく。
 国土強靭化地域計画は、災害などさまざまな脅威が起こった場合に備え、地域の弱い部分や課題を洗い出した上で、最悪の事態を回避するために何をしなければならないかを示す指針と位置付けられている。御坊市では国のモデル指定を受けて昨年度から大学教授らの助言を受けて取り組んでおり、日高地方でトップとなる本年度中の策定を目指している。素案は30日に開かれた市議会全員協議会で公表され、龍神康宏総務部長らが説明した。
 国の基本計画で想定されている「起きてはならない最悪のシナリオ」はテロなども含めて45パターンが設定されているが、御坊市は地域の特性を踏まえ災害を中心に23のシナリオを選定。一つ一つのシナリオでは、「南海トラフの巨大地震が発生し、震度7を観測。建物倒壊や火災が起こり多くの死傷者が出た」「集中豪雨で日高川の堤防の決壊が起こり、多数の死傷者が出た。大量の水が市街地まで流入している」など具体的にシミュレーションし、行政や消防団員、情報通信、保健医療など様々な分野でどのような態勢を整えておく必要があるかを抽出。洗い出した課題の解消のために取り組まなければならない施策を「推進方針」として、津波避難施設の建設、夜間でもスムーズに避難できる誘導灯のさらなる設置、避難所運営訓練、河川整備事業の実施、観光客の安全確保に向けた取り組み、幼稚園や小中学校での防災意識高揚のための教育などハード、ソフト両面での必要な事業を明記している。
 中でも人命保護や行政機能の確保、経済活動、ライフラインなど13のシナリオを重点項目とし、今後、具体的な事業を検証して実現可能な部分から実施していく。市では「市民の命を守り、経済社会が致命的な被害を受けず、迅速な復旧復興が可能となる強靭なまちづくりの指針としていきたい」と話している。
 議会からの意見やパブリックコメントを盛り込み、本年度中に計画を策定する。