人口1万1700人余りの小さな町に、日本を含め世界30カ国の高校生362人が集い、将来の津波防災の在り方について熱心に議論した。南海トラフの巨大地震では津波の最大高が34㍍と想定されている高知県黒潮町で開催された、世界津波の日高校生サミットを取材した。分科会では、災害への備えや復興をテーマに参加各校が日ごろの取り組みや課題、今後の展開をプレゼンした。全員が英語で活発に意見を交換していた姿を見て、いまどきの若者はすごいと感心させられた。県内から唯一参加の日高高生をはじめ、彼、彼女たちは未来の防災リーダーになっていくだろう。
高校生たちの熱い思いもさることながら、黒潮町を訪ねて考えさせられたことが大きく2つある。一つは自然との共生の在り方。東日本大震災で目の当たりにしたように、津波は海の脅威、恐怖ということになるが、しかしながら海の恩恵を受けて人々は生きている。会場近くの小学校では高台に避難した際、自然を愛する気持ちを込めて「おーい」と海に向かって叫んでいるという。サミット参加者も習って「おーい」「アイ・ラブ・シー」と叫んでいる姿が非常に印象に残った。海とともに生き、時に向かってくる牙からどう生き抜くのか、あらためて考えさせられた。
もう一つは、地域全体の防災意識の高さである。会場に入る高校生たちを住民挙げて歓迎している姿に、自助、共助の意識の高さが感じられた。津波高34㍍という途方もない数字にあきらめるのではなく、どう生き延びるかを住民が共通認識しているように感じた。津波防災を考える上で最も大事なことである。見習うべきことはまだまだたくさんある。 (片)

