先日のスーパームーンは残念ながら天候に恵まれず、国内はほとんどの地域で見ることができなかった。月は見える形によって呼び名が変わり、「中秋の名月」など日本では平安時代から月を見て楽しむ風習があったという。
 月にまつわる神話や伝説は世界中にあり、狼男に代表されるように、西洋では月の光が人の精神を狂わせると信じられてきた。月は英語で「ルナ」ともいい、これはラテン語が語源で、「ルナシー」や「ルナティック」は精神異常、狂気という意味になる。
 21世紀のいまも、満月や月の満ち欠けが人間の生体、行動に影響を与えるという話は多い。人体は約75%が水でできており、月の引力が影響する潮の満ち引きのような現象が体内でも起きているため、満月の夜は病気の発作や事件事故が多発する――というような話が、「?」つきで新聞の囲み記事になったりする。
 最近も、ウォール・ストリート・ジャーナルという超メジャーな経済新聞にこの手の話が載った。それによると、米国では科学に基づく現実的な感覚を持つはずの医師や医療スタッフの多くが、「満月は救急処置室や分娩病棟に大混乱をもたらす」と本気で信じている。一部の病院は満月の夜、医師やスタッフを増員しているという。もちろん、こうした話を完全否定する研究結果も多く、否定派が肯定派を圧倒しているようだ。
 昔、親類のいまわのきわに立ち会った床屋の父が、夜遅くに病院から電話をかけてきた。「いますぐ日高新報をさがして、満潮と干潮の時間を見てくれ」。12歳の自分は何をいっているのか理解できなかったが、最期の時間の到来を潮の満ち引きに求めたのだろう。
 こんな話も、信じるか信じないかはあなた次第。 (静)