東日本大震災の被災地を初めて訪ねたのは昨年の9月。震災から4年半経過していたが、いまだ残る爪痕と、着実に進む復興の様子を目の当たりにした光景はいまでもはっきりと覚えている。あれから1年余りが経ち、元の生活に近づいている人が、また少し増えたことだろうと思う。気がかりなのは、復興が進むのと比例して、風化とまではいかなくても人々の関心が少し薄れてきているように感じる。仮設住宅暮らしを余儀なくされている人はまだまだたくさんいる、震災前の生活を取り戻していない人はもっとたくさんいる、何より癒えることのない心の痛みを抱えた人がどれだけいるか。被災地の復興なくして日本の発展はない、日本人の共通認識であることを忘れてはいけない。
東日本の被災地がいま、別の形で注目を浴びている。2020東京オリンピックのボート・カヌー会場の選択肢の一つに、宮城県の長沼ボート場が浮上したのが一つのきっかけ。さらに、来日中の国際オリンピック委員会のバッハ会長が、東日本大震災の被災地で複数の種目の開催を安倍晋三首相に提案したことも大きなニュースになった。なかなか粋なことをいう方だと、個人的には大いに好意を持った。
1969年に開催された東京五輪は、敗戦から復活した日本が再び国際社会に復帰する意味でも非常に意義深い大会となったとされている。あれから半世紀、今度は東日本大震災という未曽有の天災からの復活を世界に発信する意味でも、被災地での競技開催は大いに賛成。経済効果も含めて復興の追い風にもなるだろう。東京だけがよければいいのではない。日本全体で盛り上がってこそ意味がある。 (片)

