170万部超のベストセラーを記録した伝説的少女コミックを実写映画化した「溺れるナイフ」が、11月5日から全国ロードショーされるが、美しい由良町の白崎海岸がロケ地の一つになっていたことが分かった。同町観光協会(丸宮信幸会長)では、ロケ地限定の特別鑑賞券も販売しており、「白崎の全国PRや観光客誘致につながれば」と期待している。
 「溺れるナイフ」は、ジョージ朝倉氏が原作で、2004年から2013年まで、講談社「別冊フレンド」に連載。2014年2月までに全17巻で完結のコミックとしても販売されている。10代の自意識を独特なタッチで時に鮮明に生々しく描き、女性のみならず男性をも虜にした作品で、実写映画は「傑作青春映画になるポテンシャルを秘めている」と評されている。その実写映画は、映画「おとぎ話みたい」で注目を集めた山戸結希氏が監督。主演は「仮面ライダーW」やau携帯電話のCМで「鬼ちゃん」として知られる菅田将暉さん(23)と、女優やファッションモデルとして活躍し、資生堂化粧品のCМにも出演している小松菜奈さん(20)。映画の中で菅田さんは神主一族末裔の長谷川航一朗役、小松さんは東京で人気モデルとなっていた望月夏芽役を演じ、気高く危うい10代の破裂しそうな恋と衝動を描いたラブストーリーとなっている。
 映画のロケは全て自然豊かな和歌山県内で行われており、紀北・紀中エリアでは、由良町だけ。紀南エリアでは、串本町、田辺市本宮、那智勝浦町、新宮市の4カ所となっている。PRパンフレットでは、ロケ地の地図や写真を公開しており、「溺れるナイフのロケ地を巡ってあなたも恋の主人公気分に」とのキャッチコピーを付けている。
 由良町の白崎海岸は白い石灰岩の絶景が映画のイメージに合っているということで、ロケ地に選ばれた。観光協会によると、ロケは昨年9月に行われ、主演の2人らが、海岸線をバイクで疾走する姿や白崎海洋公園の施設での様子を撮影。一日限りのロケで、深夜まで行われたという。その白崎海岸をバイクで疾走する映像は、ラストシーンで使われているほか、PRポスターやホームページの写真としても大々的に採用されており、大きな宣伝効果が期待されている。同協会では「映画のロケ地は〝聖地巡礼〟として観光スポットになることもあるが、映画のヒットで白崎にもさらに多くの観光客が来るようになれば」と話している。同協会が白崎海洋公園パークセンターで販売している特別鑑賞券はロケ地でしか取り扱われていない限定品で、1枚1000円の割引価格。県内での映画公開は11月5日からジストシネマ和歌山、イオンシネマ和歌山、ジストシネマ南紀で行われ、今後ジストシネマ御坊と同田辺でも順次上映される。