あれも読みたい、これも読みたいと、一冊の本を読み終えないうちに本を買ってしまう。年齢とともに読むスピードは遅くなり、読まなければならない本が枕元にたまってくる。気合いを入れて読み始めても、5分もすれば両目のシャッターが下り始め、2、3行で眠りに落ちてしまう。
次の夜、しおりを挟んだページを開いてみると、「私は田崎が恣意的に並べた写真を見返し、山川に連絡をとって3人で現場へと向かった...」とあるが、さて、田崎に山川はどなたはんでしたかいな。物語の世界へ入ることもできない。
仕方なく数㌻戻ってみるがよく分からず、さらに10㌻ほど巻き戻して、ようやく田崎と山川の関係を思い出した。しかし、この時点で本日の集中力は終了。結局、1㌻も進めず、一冊読み終えるまでに1カ月以上かかった。まるで枝雀落語の長屋の男である。
6月から毎週金曜付で、新刊本や話題の本を紹介するページ「本のひだかや」をスタートさせた。編集部に「家が本だらけで寝る場所もない」というとんでもない読書家(里)がおり、他の記者や社員も巻き込んでなんとか続いている。
今月は真夏の納涼企画として2週連続、「怖い話の本」を特集し、三津田信三の短編集「赫眼」と加門七海の「祝山」を紹介した。この2冊は最近読んだところで記憶も新しかったが、情けないのは1年以上前に読んだ本で、「めっちゃ面白かった」という印象はあるのに、ストーリーがさっぱり思い出せない。
この骨の髄まで浸潤した「老い」こそが何より怖く、仕事となれば楽しい反面、「行」のような苦しさもあるが、締め切りに追われつつ、寄る年波に抗いつつ、面白い本、泣ける本、怖い本を紹介していきたい。(静)

