高校生のとき、将来何になりたいかという明確な答えなど持っておらず、単純に都会生活と親元を離れて一人で暮らすことへの憧れだけで、親の負担も考えずに大学に進学することを目標にした。運よく奈良県の大学に合格し、奈良県との境にある大阪の昔ながらの文化住宅で一人暮らしをさせてもらった。ミナミやキタへは電車で30分~40分、都会での遊び中心の学生生活は楽しいの一言だったが、田舎者の筆者は「仕事をするなら暮らしやすい地元の方がいい」と思ったのが正直なところ。都会には都会の、田舎には田舎のよさがある。
 大学の友達が筆者のふるさと印南町へ遊びに来たとき、切目から岩代にかけての紀伊水道の水平線を見て歓声を上げて喜んでいたのは、20年たったいまでもはっきり覚えている。地元民にとっては当たり前の光景も、都会の人からすれば感動を覚えるほどの魅力なのかと初めて感じた瞬間でもあった。いま思えば、身近にある魅力に気づくには、外から見てもらうこと、自分自身も外を見てくることが大切なのだと、何となく感じた瞬間でもあった。
 「わたしの住むまちはこんなに魅力的でした」。ことし2年目を迎える御坊日高博覧会のパンフレットの表紙に添えられている言葉である。地元にある魅力を再発見してあらためて観光資源として磨き上げる。行政を頼りにするのではなく、自分たちの手で魅力を磨いていく、今の地域振興の在り方の基本であろう。高校生おんぱく部プロデュースのリアル脱出ゲームなどユニークなプログラムがいっぱい。まちの魅力は「人」であることも、再認識できる機会になるだろう。時間のある人はぜひ参加してみよう。 (片)