国民性は極めて親日的といわれるバングラデシュで起きたテロで、日本人7人が犠牲となった。死者は全体で28人、犯人たちはイスラム教徒ではない外国人を狙って殺害し、一般の犠牲者20人のうち17人までが外国人だった。
亡くなった日本人は全員がJICA(国際協力機構)のプロジェクトの関係者で、遅れている交通インフラや住環境を整備、改善するため、日本とバングラデシュの発展を願って頑張っていた。同僚は「わが社の宝でした」と話していたが、世界に冠たる技術立国、日本の宝でもあった。
2年前、JICAの海外支援事業に関し、中米のグアテマラ共和国に派遣されている青年・シニア協力隊員を取材させてもらった。小学校の教育、助産師、湖の水質改善、下水道施設管理など、1週間で5人のボランティアを訪ね、全員が言葉の壁を超え、地元の人たちと心を通わせ、ぎりぎりの生活環境の中で頑張っておられたのを思い出す。
JICAの国際協力は当然、途上国と呼ばれる経済的に遅れている国を対象とし、ボランティアの協力隊員が派遣される国や地域は総体、日本に比べて治安が悪く生活が不便。グアテマラも殺人が多発している首都は昼間でも一人歩きは許されず、日本国大使を訪問する際のセキュリティも想像以上だった。
ボランティアやスタッフは防犯対策に過剰なほど神経を使いながらも、仕事の現場では人間同士のコミュニケーションを第一に、相手の文化や風習に従う裸のつき合いから信頼関係を築き、技術者を育成している。
安倍首相が「日本外交の宝」というのも決して言い過ぎではない。何の落ち度もない彼らの志が理不尽に引き裂かれ、同じ日本人として悔しく、無念でならない。(静)

