和歌山が育んだ良質な木材「紀州材」の特性を生かした家を表彰する「わかやま木の家コンテスト2015~あなたが選ぶ紀州材の家」で、㈱坂井家起こし(印南町印南原、坂井志行代表取締役)の作品「素足で歩く家」が最優秀賞に選ばれた。心地のいい杉材の優しさが伝わる床に、快適に過ごせる造りのこだわり住宅。日高地方からの入賞は初めてで、表彰式は4日に県庁知事室で行われる。
 コンテストは、表彰によって紀州材の住宅建築を促進するとともに、需要拡大による地域の林業、木材産業の活性化を図ろうと、県が開催。構造や内装に紀州材を使い、県内の事業者が新築した住宅を対象に、7回目となる今回は18作品の応募があった。有識者による1次審査のあと、県内7カ所で各作品のポスターを展示し、一般投票による2次審査を実施。得票数の多い順に最優秀賞1点と優秀賞2点を決めた。投票総数は1512人が3作品ずつの計4536票。坂井家起こしの作品は797票で見事1位に輝いた。
 「素足で歩く家」は昨年の7月に同地内へ完成した坂井代表(40)の自宅で、延べ床面積154・02平方㍍(うち車庫34・78平方㍍)の平屋。自社の設計・施工で構造体や床材はすべて紀州材を使っている。リビングは「登り梁」が支える開放的な造り。厚みが3㌢ある杉材の床はしっとりと優しく、心地よさが素足を通じて伝わってくる。木目が細かく美しい紀州材の魅力をふんだんに活用。外壁材には自社加工のゴツゴツした焼杉を使用しており、堂々としたたずまいで、飽きがこない住まいにしている。
 木の温かみと落ち着きが感じられるだけでなく、室内の快適な住環境にこだわり、全館空調を低コストで実現する高性能住宅。高い気密性と断熱性によって「魔法瓶」のようにした北海道仕様で、小さな熱源で年間を通し室内の温度を21~27度に維持できる。初めての応募で最優秀賞を獲得。坂井代表は「こだわりの家が評価されてうれしいです。曳き家業者だと思われがちですが、土木建築業も請け負っています。受賞を自信につなげて紀州材のよさを一層PRしながら、オンリーワンの快適住宅を提案していきたい」と笑顔を見せている。