紀州日高漁業協同組合(松村德夫組合長)の由良町衣奈漁港内、水産加工処理施設改修工事が完成し、稼働を開始した。特産ワカメを使ったつくだ煮の衣奈そだちや塩蔵ワカメ、イワシの生アンチョビを製造している施設で、内装や生産ラインを修繕。これを機に新産品の開発なども進め、施設全体の生産量は、平成30年度までに現行の3割アップを目標に掲げた。
 同施設は、鉄骨造り2階建ての面積318平方㍍。町が昭和61年に建設したが、建屋や加工設備などの耐用年数が経過して改修の必要が出ており、今回の改修に際して、町は同組合に施設を無償譲渡した。工事では内装や製造ラインのやり替えを行った。また、これまで同じ部屋で作業を行っていた衣奈そだちと生アンチョビ生産の部屋を分けるなどで衛生管理の徹底も図った。
 組合によると、生産しているのは、塩蔵ワカメ(年間500㌔)、衣奈そだち(真空パックと瓶詰めで各600㌔)のほか、イワシを使った生アンチョビなどもあり、今後増産を目指していく。特に塩蔵ワカメについては、組合員が個々の設備で生産していたが、設備の管理、維持が大きな負担となるため、改修を機に施設の製造ラインを使用。ただ、高齢化や後継者不足、重労働などで塩蔵ワカメの生産者は4、5軒になっており、将来的には組合自体で生産していくことも視野に入れている。
 また、今後、地元産の魚介を使った新産品の開発も進める。戸津井沖などに群生する天然の海藻の一種「アカモク」の加工場所としても考えている。
 改修の事業費は1600万円で、うち1100万円を町が補助した。