いまから260年前の1755年11月1日、西ヨーロッパで巨大地震が起こり、ポルトガルリスボンを中心に甚大な被害を出した。リスボン地震といわれ、死者は5万5000人から6万2000人に上ったという。津波による死者も1万人といわれている。15世紀に幕を開けた大航海時代、世界をスペインとポルトガルが半分ずつするといわれるほどの国力を誇った当時の大国も、この地震がきっかけで勢いが衰えた。ヨーロッパの勢力図が変わり、替わって台頭したフランスではフランス革命へとつながっていったともいわれる。地震は国家そのものをも破壊する恐ろしさを持つ。そのポルトガルではいま、巨大地震が起こった場合に備え、対策が検討されている。
先日、県民文化会館で県主催の世界津波の日制定記念イベントが開かれ、地震研究の第一人者、河田惠昭氏が講演でリスボン地震について話され、こんな地震があったことを初めて知った。死者22万人という過去最も多くの犠牲者を出したインドネシア、たびたび津波に襲われている南米チリ、中国など内陸でも大きな揺れに襲われた歴史があり、地震津波対策は世界共通の課題といえる。
東日本大震災から間もなく丸5年を迎える。被災地ではまだ道半ばながら一歩ずつ復興は進んでいる。しかしながら海岸部では人口流出が深刻で、土地のかさ上げは進んでも人が思うように戻ってこないという新たな課題に直面している。近い将来、南海地震が必ず起こる当地方もこのような問題に直面するときが来るだろう。人がなければ行政も成り立たない。いつか来るその日のため、仮設住宅の建設場所確保などいまできることをする。それも過去の地震の教訓だろう。 (片)

