急速に発達した低気圧の影響で、太平洋側を中心に強風や大雨に見舞われた20日昼、印南町で突風による被害が発生。農業用ビニールハウス22棟が壊れたほか、住宅5軒の屋根瓦が飛ばされ、1軒の窓ガラスが割れた。21日、和歌山地方気象台は現地調査を行い、積乱雲などから強い下降気流が吹きつける「ダウンバースト」が起きた可能性が高いと発表した。
 町総務課などによると、20日午後3時30分ごろ、突風による被害情報が寄せられ、警戒していた職員が状況を調査。22日午前10時半までにビニールハウスの一部損壊等が切目と切目川筋で20棟、印南で2棟あり、住宅の瓦が樮川で3軒、羽六と田ノ垣内で各1軒飛ばされた。ガラスが割れたのは羽六の1軒。このほか、田ノ垣内と上洞で倒木があり、上洞の千両小屋で屋根が変形するなどの被害が確認されている。けが人は出ていない。
 これを受け、和歌山地方気象台は21日、職員を気象庁機動調査班として派遣。現地調査を実施し、その日のうちに突風をもたらした現象はダウンバーストの可能性が高いと判断したとの速報を発表した。突風の強さを6段階で表す尺度の「藤田スケール」では、最も弱い「F0」(風速毎秒17~32㍍)と推定されるという。
 22日、被害現場の住宅では屋根へシートを設置。すでに住民が応急処置を済ませ、一方のビニールハウスでは折れ曲がったハウスの上に登り、撤去などの作業に追われる人の姿が見られた。町では引き続き被害状況の把握に務めている。