由良町衣奈漁港で冬の風物詩となっている養殖ワカメの天日干しが、スタートした。昨シーズンはワカメの種の状態がよくなかったため、水揚げ量が例年の3分の1にまで激減したが、今シーズンは生育状態がよく、生産者らは「例年並みは確保できるのではないか」とほっとひと安心している。
 ワカメの養殖は毎年11月下旬にロープに種付けを行い、海中に沈めて育成。1月下旬から3月下旬まで水揚げされ、天日干しの乾燥ワカメや塩蔵ワカメ、軸をつくだ煮にした名物「衣奈そだち」などにして販売される。独特の磯の香りとうま味、肉厚の食べ応えなどが特徴で人気。〝早獲り〟はやわらかい食感が楽しめる。昨年は仕入れた種の状態がよくなかったのか、1株から出る軸の数が2、3本と少なく、水揚げ量が激減。生産者が個々に販売したり、紀州日高漁協組合に卸したりしているため、全体の水揚げ量は数字的にまとめられていないが、同組合などによると、「昨シーズンは例年の3分の1ぐらいにまで落ち込んだと聞いている」と話している。
 地元でワカメ養殖に50年間携わっているベテランの寺井昭治さん(70)によると、ことしは1つの株から軸が30本程度。あまり軸が多すぎると「密植」の状態になって育ちが悪くなり、最適なのは10本から15本程度とされているが、「水揚げ量は例年並みになるのではないか」と期待。ただ、「天日干しは太陽が出て、風が吹いている時が最適だが、風が強すぎてもちぎれて落ちてしまう。また、北風は潮が多く含まれ過ぎて駄目。最もいいのは北西の風。南から暖かい風がくるとワカメが腐ってしまう。自然まかせの生産なので本当に難しいですよ」と話している。
 漁港での天日干しは約2日間行い、その間、風通しをよくするため、軸をほぐす作業を一日2、3度繰り返す。乾燥したら根の軸と先を切ってござで再び半日程度天日干しする。生産者の高齢化や天日干しの作業が大変なことから、かつて30軒あった生産者は、現在6、7軒にまで減っている。