地方の人口減少が止まらない。和歌山県は平成23年2月1日の調査で100万人の大台を割り込み、今年1月1日現在は96万10人。県、市町村とも対策を打ちながら、津波警戒で沿岸部から内陸への移動はあっても、全体としてはなすすべがない状況が続いている。
国による地方創生に期待がかかる政府機関の地方移転。ひと、もの、しごとを地方に分散させ、東京にひしめく企業を全国に移転させるため、省庁や独立行政法人等を引っ越しさせようという話だが、なかなか思い通りに進まない。昨年、国が誘致を希望する自治体を募ったところ、42の道府県が計69機関の移転先として受け入れに手を挙げた。
和歌山県は総務省の統計局と独立行政法人の統計センターの移転を要望。競合する自治体はなく、いずれも和歌山市を候補地としているが、先の両者の意見交換でも統計局側に前向きな意見はみられず、文化庁を希望する京都を除いてはおしなべて、「笛吹けども踊らず」といった状況のようだ。
江戸時代の関東はいまとは違って商品の生産力が弱く、庶民の生活品は瀬戸内や上方から運搬された。海運が発達していないころは、東海道を人馬で運ばれる上方の商品が「下りもの」と呼ばれて高値がつき、逆に関東の地の品物は「くだらない」とバカにされ、それが江戸っ子の「くだらねぇ」の語源となったという。
政府機関の地方移転も含め、県や市町村が策定する地方創生総合戦略は、各藩が独自の文化、教育を持って栄えた江戸時代の分権社会への回帰ともいえる。地方創生をくだらない絵空事に終わらせないよう、選挙で選ばれし市長、町長、議会員は発想と発信力、有権者にはその力を見抜く目が求められている。(静)

