和歌山工業高等専門学校(堀江振一郎校長)は16日、御坊商工会館で講演会「南海トラフ大地震を生き抜く『避難力』そこが決断の時」を開き、松山大学人文学部社会学科の森岡千穂准教授が講演。避難が遅れる原因に人が持つ楽観性や嫌なことを考えたくないという心理「認知的不協和」などを挙げ、「人の判断は主観的・楽観的になりがちで、正確ではないということを把握し、とにかく避難すること」と訴えた。
森岡准教授はまず過去の地震を例に挙げ、逃げなかった人の理由に「自分がいる場所は危険ではないと思った」「津波が防波堤を越えるとは思わなかった」「他地域に来た津波が低いと聞いた」などがあったことを紹介。今後地震が来た際の対応アンケートで「あわてて適切に対応できないと思う」と答えた人が半数以上だったにもかかわらず、自分が死亡するなどの被害を受けると思う人は1%しかいなかったことを指摘した。
人には、「他人は運が悪くても自分だけは運がいい」など根拠もないのに自分だけは助かると信じる「楽観性」を持っていること、大きな災害が発生したとわかっていても「避難は大げさ」などと理由をつけて嫌なことを考えないようにする「認知的不協和」などの思考システムがあることも説明。「人の思考は客観性や数学的確率に基づかず、それまでの経験や期待の気持ちをもって判断するようになっている」とし、「こういった思考の『くせ』を把握し、多少腑(ふ)に落ちない、恥ずかしいと思っても、いち早く避難することが重要」と呼びかけた。

