実際には行っていない保険診療を付け増すなど診療報酬を不正に請求していたとして、近畿厚生局は7日、日高川町土生、たまき皮ふ科耳鼻科の保険医療機関指定と、同診療所開設者の玉置かおり医師(47)の保険医登録をいずれも同日付で取り消すと発表した。
 たまき皮ふ科耳鼻科は町役場前にあり、玉置かおり医師は耳鼻科の患者を診療。約2年前、公費負担医療(乳幼児医療)の患者の母親から医療費に関して「受けた記憶のない処置や検査が請求されている」という訴えがあり、監査の結果、130万円近い不正請求が判明した。
 近畿厚生局和歌山事務所によると、患者の母親からの訴えを受け、昨年6月、玉置医師に聞き取りを行ったが、持参資料に不足があり、その理由についても明確な回答がなかったため調査をいったん中断。12月になって聞き取りを再開したところ、検査の診療報酬が請求されている患者について、検査委託会社からの請求明細書に記載がない例が多く見つかり、玉置医師は検査をしていないのに診療録に検査を実施したと記載、診療報酬を請求していたことを認めた。
 その後、計4回の監査の結果、レントゲン検査など実際には行っていない診療を付け増したり、実際に行った診療を保険点数の高い別の診療(手術など)に振り替えるなどし、平成24年1月分から26年3月分までのレセプト(診療報酬明細書)のうち、少なくとも62人分(194件)で126万2366円を不正に請求していた。ほとんどは患者の自己負担のない乳幼児医療だったという。
 たまき皮ふ科耳鼻科は昨年12月31日付で自主的に廃止、保険医療機関としての指定は取消相当となっており、玉置医師の保険医登録もことし8月9日付で自ら抹消、取消相当となっているが、同事務所はいずれも今月7日付で処分を決定。向こう5年間、保険医療機関、保険医の再登録はできなくなり、不正、不当請求分は過去5年までさかのぼり、監査で判明した以外のものも含め、保険者に返還させる