美浜町和田(西中)に18日、長期ひきこもりとネット依存の若者の社会復帰、自立を支援するための施設がオープンした。大学生などのひきこもり回復支援プログラムの研究で知られる和歌山大名誉教授の精神科医、宮西照夫さん(67)が、自宅近くに所有する空き家2軒を改修。1軒は回復途上にある若者同士のシェアハウス「プチ家出の家」として、ひきこもり経験のあるメンタルサポーターも一緒に生活する。
1990年代には若者の社会的ひきこもりの増加と長期化が深刻な社会問題となり、現在、ひきこもる若者は全国に70万人以上いるといわれている。宮西さんは昭和57年から和歌山大学保健管理センターの精神科医となり、長年にわたり蓄積してきたデータを基に平成14年、ひきこもり傾向にある学生の自助グループなど集団療法を軸としたひきこもり回復支援プログラムを完成させた。現在は岩出市にある紀の川病院の副院長としてひきこもり研究センターを開設し、ショートケアや地域とかかわりながらのアウトリーチ型支援等で若者の回復をサポートしている。
今回は宮西さんの自宅近くに、ひきこもり研究所「ヴィダ・リブレ(スペイン語で自由な生き方という意味)」とシェアハウス「プチ家出の家(居場所)」を開設。2軒とも以前は宮西さんと両親が住んでいた家で、研究所はひきこもりとネット依存の研究、相談を中心に、シェアハウスはひきこもる若者が家族から物理的、精神的な距離をとる場とし、同じ境遇にある若者同士が炊事、洗濯等の家事を分担しながら一緒に暮らす。
両施設とも、宮西さんとひきこもり経験のあるメンタルサポーター(病院や大学の非常勤職員ら)が理事を務めるNPO(近く申請予定)が中心となって運営。ひきこもりに特化し、メンタルサポーターがともに生活するシェアハウスは県内では初めて、全国的にも珍しいという。
シェアハウスの利用期間は原則最大3カ月で、以前から宮西さんとともにひきこもる若者の支援を続けている日高病院臨床心理士の石橋玄さん(45)、就労支援のジョブコーチら地元の専門家もボランティアでバックアップ。宮西さんは「ここは、社会でつまずいた経験のある若者が自らの経験をもとに、自分と同じように苦しむ若者を助け、育てていく場です。ひきこもり、ネットに依存する若者がこの田舎の自然の中で心を癒やし、仲間とともに対人・社会スキルを身につけ、ITなど自らの高い能力を生かして新しい時代の仕事を見つけてもらえれば」と話している。

