みなべ町気佐藤、ミナベ化工㈱の新事務所が完成。7日に竣工式が行われ、関係者ら約100人が祝った。施設は鉄骨4階建て、延べ床面積1758平方㍍。防災を重視した設計で、4階には非常食や飲料水などを常備している。同社では「社員は約130人だが、少なくとも350人は避難できる。万一の災害発生時には地域住民の避難所としても活用してほしい」と話している。
 南海トラフの巨大地震が懸念されている中、同社が行った津波を想定した避難訓練では、事務所から安全な高台へ移動するまでに15分程度かかったという。新事務所は災害発生時の社員の安全確保を考慮し、支柱を地下30㍍まで15本打ち込むなど耐震を強化。4階には備蓄室を設け、非常用の食糧450食分、飲料水、簡易トイレ、発電機、衛星電話2機など防災に必要な一式を備えた。建物の最高部分の高さは17・25㍍で、非常時に利用しやすいように壁を少なくした設計となっている。社員だけでなく地域住民の避難所としても活用を呼びかけており、同社は「懸念されているような大地震による津波が発生した場合、社員だけでなく地域の皆さんの安全に役立ててもらいたい」と話している。同社周辺では南海トラフの地震が起こった際の津波の浸水予想は2~5㍍とされ、近くには避難困難地区もある。11月ごろには、周辺の新庄地区との合同避難訓練も検討している。
 紀州南部ロイヤルホテルで開かれた祝賀会には約100人が出席。藤井達夫社長はあいさつで同社の歩みを説明したあと防災についても触れ、「東南海・南海地震の発生が心配されている。従業員の安全を確保し、地域の住民にも活用してもらいたい」と述べた。関連会社の大阪ガスケミカル㈱の藤原正隆社長もあいさつ。仁坂吉伸知事、坂本登県議が祝辞し、小谷芳正町長も「これから防災協定を結ぶよう進めていきたい」と述べた。式終了後には新事務所の見学会も開かれた。