ノーベル賞に日本人が相次いで選ばれた。生理学・医学賞に北里大学特別栄誉教授の大村智さん(80)、物理学賞に東京大学宇宙線研究所所長(56)の梶田隆章さんが受賞した。大村さんは目のレンズに当たる角膜に炎症が起こる「オンコセルカ症(河川盲目症)」などの病気の治療薬の開発につなげる貢献。梶田さんは素粒子のニュートリノに質量があることを突き止めたことが高い評価を受けた。
ノーベル賞は優れた業績を残した研究者らに贈られる。研究内容はすぐには活用できないこともあるが、多くの人のために役立てられる。大村さんの研究成果からはすでに医薬品が開発され、アフリカや中南米を中心に年間1億人に使用されているという。多くの人々の健康を守ることにつながっている。
大村さんはノーベル賞の受賞を意識して研究に没頭してきた訳では決してないだろうが、子供のころに祖母に言われたという「人のためになることを考えなさい」という言葉が常に科学者としての根底にあったそうだ。会見では「北里大学創始者の北里柴三郎氏も『人のために仕事をしなければならない』という精神。私も微生物が何とか役に立たないかと思ってやってきた」と話していた。
ノーベル賞クラスの研究には努力だけでなく、才能も欠かすことはできない。筆者のような者が何度生まれ変わっても受賞するのは到底不可能だ。しかし、「困っている人のために」「お世話になった人のために」という精神を持ち、社会に奉仕するということなら可能。日本人のノーベル賞受賞を誇りに思いながら、特別な人でなくてもできる小さなノーベル賞を目指していこうと思う。 (雄)

