夜の涼しい風に秋を感じるようになった。気が付けばことしも3分の2が終わり、わがまち印南町では祭りのならしも始まった。いい年をしてと笑われるが、たまにならしをのぞきに行くと、血が騒いで本番が待ち遠しくなる。同時に、子どもと若者の少なさは年々深刻になっているのが気がかりでならない。このままで10年後、20年後、わが組は祭りに参加できているのだろうか。特定の地区に限ったことではない、少子化対策は日本にとって最重要課題の一つで、とくに和歌山県のような田舎は限界集落だらけになってしまうだろう。
 先日、御坊市が2060年の人口ビジョンを示した。現在の人口は2万5202人だが、45年後の人口シミュレーションは最低で1万2560人、国の機関の推計では1万4399人。これに対し目標値に設定した人口は1万8781人。子育て支援策や若者の働く場を確保しなければ達成は難しいが、危機感を持って対策を考え実行しようとすることは意義深い。何とかしなければという思いがなければ人には伝わらないのだから。
 45年後といえば筆者は生きていれば85歳。現在の若者、そしてこれから生まれてくる子どもたちがこのまちを、日本をリードしてくれている時代だ。そう考えるといまの世代に課せられた責任は重大だ。少子化対策に特効薬はないが、しいて言えば若者や子育て世代の経済的安定が必要不可欠な条件。アベノミクスのみじんも感じられない今は正直希望の光はあまり見えない。人口ビジョンを作っても、景気回復のビジョンが見えないようでは元も子もない。国ははっきりとした経済活性化ビジョンを示す必要があるだろう。(片)