日高町は4日、9月議会(8日開会)に提出する平成26年度水道事業会計決算を公表した。それによると、実質の赤字額は5244万9435円で、前年度に初めて出た約600万円の赤字から大幅に増加。節水ムードに伴う水道使用量の減少のほか、水道管修繕費などの費用がかさんだためだが、今後も抜本的な改善策は見込めないのが現状。同町の水道料金は日高地方で由良町と並んで高額だが、このままの状況が続けば平成30年度にも値上げの可能性が出てきた。
 26年度の赤字については、町の人口が増えているにもかかわらず、節水ムードの高まりで水道使用量が減少傾向にあることや、8年に1度取り替える水道メーターの取り換えがこの年に集中したこと、さらに水道管の修繕費がかさみ、国の制度の見直しで減価償却費が増加したことなどが要因。現時点ですでに27年度も二千数百万円(予算ベース)の赤字が見込まれている。28年度から3年間は水道メーターの取り換えがないことから、支出は一定抑えられるとみられるが、老朽管の取り換えをしなければならないほか、突発的な修繕が出てくるケースも予想され、はっきり見通しが立てられない状況となっている。
 町では、提供した水の量がどれだけ収益につながるかを表す「有収率」が75%と低迷していたため、水道管の漏水調査を実施して修繕したことで、有収率が26年度で80・6%に回復。ただ、目標は90%超でまだまだ届いていない。有収率が低いと、水道管から水漏れしてそれだけ損益が出ているということだが、なかなか小さな水漏れ個所を発見して修繕していくのも難しいという。
 担当課によると今回、前年度に比べ赤字幅が増加したが、水道事業会計ではいわゆる現金の貯金が現在2億3700万円、内部留保金が1億2000万円あることから、すぐに運営難に陥るわけではない。しかし、黒字にして一定の貯金をしておかなければ、水道施設の大規模改修など大きな予算がいる場合に対応できず、綱渡りの運営が強いられることになる。
 町の水道料金は現行の一般家庭で月額平均4769円。水道事業が企業会計となった平成17年4月に値上げされ、そこから20年5月に16%の値上げ。以来、消費増税に伴う改定以外は値上げをしていない。担当課は「水道料金が高額な要因については、町内で独自の水源を持たないことや『UF膜処理』という最新の細菌除去施設を備えて安心、安全な水を提供していること、水を大量に使う大企業がないことなどが挙げられる」と理解を求めている。また、28年度中には運営改善へ経営戦略も立てる。ただ、いまのところ収入増、支出減の抜本的な対策が見当たらないため、再値上げの可能性がある。時期的には29年度の消費税10%への値上げのころを避けて(消費増税分の値上げは実施)30年度以降を視野に入れている。