日高川町松瀬、日高川漁業協同組合(大杉達組合長)は、日高川のアユなど川魚を原材料としたレトルト食品を開発した。冷凍食品のアユとアマゴの一夜干しに続く日高川漁協のプレミアム商品第2弾で、子持ちアユの煮付けなど9種類。22日には日高川町役場で試食会が開かれ、市木久雄町長は「これはおいしい」と絶賛した。販売は今週末から県内の道の駅や温泉宿泊施設、土産店などでスタートする。
 日高川漁協では、3年前から敷地内のお魚工房日高川で一夜干しを製造し販売。年間でアユが約10万袋、アマゴが約5万袋を販売する人気商品となっている。今回、国の川の恵み創造事業で1000万円の補助を受け、事業費約1500万円でレトルト装置(高温高圧調理殺菌装置)をお魚工房に導入。養殖魚を活用し、これまで加工できなかった規格外の魚や子持ちアユ、落ちアユ、ホンモロコなど材料にしたレトルト商品を開発した。ホンモロコは日高川にはない高級淡水魚で、数年前から京都府内の漁協から輸入した魚を使って繁殖に取り組んでいる。
 新商品は子持ちアユの煮付けのほかアユの塩焼き、アユの一夜干し焼き、子持ちアユのみそ煮、アユのオリーブオイル煮、アユのトマトクリーム煮、稚アユの甘露煮、ホンモロコの甘露煮。袋から取り出してレンジなどで温めるか、袋のままゆでるだけと調理は簡単。いずれも頭から背骨まで柔らかく調理されており、小さな子どもからお年寄りまですべての部分が食べられる日高川の恵みが詰まった商品。ご飯のおかずや酒のさかなに最適で、贈り物としても喜ばれそう。一夜干しのような冷凍食品とは違い、常温で3~6カ月以上長期保存することもできる。今週末から販売するのは、子持ちアユの煮付け、稚アユ、ホンモロコの甘露煮の3商品。煮付けは大中小の3種類あり、価格は260円から430円。甘露煮は50㌘280円。年間1万5000袋の製造、販売を見込んでいる。他の6商品についても順次販売を開始し、オリーブオイル煮やトマト煮などはイタリアンレストランの需要なども考えている。
 漁協では、新商品の製造に伴い、一夜干し製造の約10人が4月から10月までの半年間から通年勤務となり、地域の就労の場としても貢献している。
 この日の試食会では、初めに大杉組合長が「洋風へのアレンジも考えて新商品を開発しました。臭みもなくまったく骨を気にせず食べられます。川の幸を生かし産業振興に貢献していけると思います」とあいさつし、市木町長が試食。皿に盛り付けられた新商品を次々に味わい、「本当においしい。おかずに最適で、ビールにも合う。トマト煮、オリーブオイル煮はパスタやサラダにも相性抜群」と話すなど、新商品に笑顔で太鼓判を押していた。