日本一の梅産地、みなべ町では近年、梅の価格低迷が大きな問題となっている。いままでの好景気だった頃と比較すると半分以下に落ち込んでいるのが現状。要因は日本人の食生活にあり、梅干しと合うご飯の消費が減少し、パンやパスタなどを食べる人が増えていることが大きいという。このために需要が減少し、供給過剰傾向にある。
 梅農家にとっては死活問題だが、手をこまねいているだけではない。いろんな消費拡大に向けた取り組みが行われている。議会では昨年、「おにぎりで梅干し条例」を可決。この条例がきっかけとなり、おにぎりを握る人数を競うギネス記録に挑戦するというイベントも行われた。ほかにもガチャポンの景品を梅干しにするというユニークな発想でPRを展開し、テレビや新聞などに取り上げられ、大きな宣伝効果があった。複合経営の品種を研究したり、災害備蓄用梅干しを缶詰にするという取り組みもを行われている。世界農業遺産の登録を目指しているのもその1つと言えるだろう。
 そんな中、ことしもあと1カ月もすれば梅の収穫時期を迎える。作柄が注目される時期だが、農家の中には「供給過剰といわれるため、ことしは不作傾向の方がいいのではないか」という声も聞かれているのは事実。豊作、不作で価格が変動するのは否めず、農家の収益にも直結する問題だ。
 しかし、梅での生計はただ単に自然まかせではなく、経営そのものが強固でなければならない。産地が努力を怠らずに知恵を絞ることこそが現状を打開し、今後の発展にもつながる。いま、皆が出し合っている知恵が近い将来に実ることを期待したい。    (雄)