別れの季節といわれる3月が過ぎ、出会いの季節の4月に入った。学校では入学式が行われ、子どもたちが新しい生活を始めている。大きなランドセルを背負って登校する光景を見ると、「頑張れ」と声援を送りたくなる。企業では入社式が行われ、学生生活にピリオドを打って社会人としてスタートを切った人もいる。4月には躍動感がある
 入学式も入社式も昔のことで、いまとなっては関係ないという人も読者の中には多いのではなかろうか。筆者もそんな1人。しかし、物事を始めるにはいい季節。「もう年だから」と言ってしまわず、思い切って何かに挑戦してみてはいかがだろう
 江戸時代の測量学者の伊能忠敬は高齢で偉業を成し遂げた。55歳(1800年)の時から歩幅をメジャー代わりにして日本中を歩き回って地図をつくったことで知られている。期間は70歳(1815年)までの約15年で、歩いた距離は地球1周に匹敵する4万㌔にも及んだ。当時の海岸線などは人が通ることもできないほど険しい場所もあったに違いない。そういうことを考えると、不屈の精神とパワーに脱帽する
 春は行動的になりやすい。日本地図の作製という大きな偉業とまではいかなくても、自分の好きなことに挑戦しやすい季節だ。忠孝が測量学者を目指したきっかけは「地球の大きさを知りたい」という大きな好奇心からだったという。物事に興味を持ち、やり遂げたいという気持ちがあれば、年齢は大きな問題ではない
 筆者ももう少しで50歳。そう自分にも言い聞かせ、何かに挑戦できればと常々思っているのだが、これまで踏み出すことができず。「この春こそは...」と、ことしも意気込む。  (雄)