由良町里、キングレコード所属の歌手大川勝義さん(65)が、新曲「宮子姫物語(かみながひめ)」を発表した。作詞は御坊市湯川町富安、鳳生寺住職の岩本龍飛さん(64)、作曲は大川さん自らが担当し、宮子姫に髪が生えて道成寺を建立するまでのストーリーを郷愁誘う唱歌のように仕上げた。御坊市では民間や行政が宮子姫を活用した観光振興を進めており、今回の新曲が一層のPRに一役買ってくれそうだ。
 大川さんは昭和56年9月に「我が心の故郷」でメジャーデビュー。最近では「北国慕情」もリリースした。岩本さんとは長年の付き合いがあり、岩本さんと縁がある美浜町田井、メモリアルウエストが老人ホームや保育園を訪問して手作り紙芝居で「かみなが姫」を披露していることから、その場で歌ってもらったり、宮子姫を活用した地域活性化に協力したりできないかという思いで、宮子姫物語の新曲を作ることになった。かつて歌手のレッスン時代にウッドベースを弾いていた経験があり作曲もできるが、「髪長姫に導かれたようにメロディーがすらすら出てきました」と話している。岩本さんは普段、川柳を詠むことはあるが、作詞は初めてで、「苦労した面もあります。物語を全て書くのではなく、メロディーで想像してもらえるようにしました」と説明。2人は「唱歌のようでうたいやすく、オーソドックスにつくられていて、みんなで口ずさんでいただければと思います」としている。現在、市観光協会の古久保恭一会長に依頼して編曲も進めている。歌詞は次の通り。
 ♪深くて暗い 海の底
夜更けに光る 金の海
母さん 闇に引き込まれ
澄んだひとみの わらべをみれば
髪のないのが なおさら不憫
 ♪日高の浜に 流れつき
にぎる縁(えにし)の 観音さま
父さん母さん けむりとなって
空の上から、守っています
それからでした 長い黒髪
 ♪村一番の わらべをみなは
かみながひめと呼びました
天子さまから 妃のねがい
かみながひめは 都にのぼり
感謝、感謝で ああ、道成寺