2月3日告示の美浜町長選を前に、現新2人の立候補予定者に公開質問状を提出していた町内外の開業医でつくる美浜の医療を良くする会は28日、双方からの回答を受け取った。新人谷進介氏(56)=三尾=は3つの質問に答えたが、現職森下誠史氏(59)=三尾=は同会代表の龍神弘幸氏(61)が谷氏を応援している関係者であるとし、回答を拒否。森下氏の後援会事務所を訪れた龍神氏に森下氏が直接、その理由を述べた。
 美浜の医療を良くする会は23日までに両立候補予定者に対し、①おたふく風邪(ムンプス)ワクチン予防接種の公的補助②高校3年生までの医療費無料化③介護保険要支援1・2の人の対策――の3つについて、いずれも実施を要望。①と②は賛成、保留、反対のいずれかで理由を求め、③は介護保険対策の考え方をただした。
 これに対し、谷氏は①、②とも賛成とし、①のおたふく風邪ワクチンは「国、近隣町の動向を見守りつつ、近年の出生数から見ても大きな負担になるとは考えられない。早急に検討に入りたいと考える」、②の医療費無料化拡大は「近隣町の動向も見守りつつ、財源の確保を図り、高校3年までの無料化の方向に取り組む。ただし、所得制限を加えることも考える」と回答。③の介護保険対策については、「法律改正に伴い、要支援1・2の方が困る。町独自としては何も対策はできないので、国、県に強く働きかけ、支援の方策を探りたい」としている。
 一方の森下氏は、良くする会代表の龍神氏が自身の診療所に谷氏のポスターを張り、名刺を置いていたことを問題視。この件を「龍神氏が認めており、相手候補の関係者であることが判明した」とし、「医療を良くする会の他の会員さんには申し訳なく思いますが、今回の公開質問状回答に賛同できず、お断りいたします」という文書を手渡した。
 龍神氏は森下氏の事務所を出たあと、回答拒否という結果に「町民が知りたがっている項目に返事をしないのは不誠実」とコメント。森下氏が拒否理由に挙げた谷氏のポスターと名刺の件に関しては取材に対し、「ポスターは1週間掲示した。名刺は待合室に積んで置いていたのではなく、診察室のシャウカステン(レントゲン写真を患者に見せる際に使うディスプレイ装置)に挟んでいた。これは薬の業者らがあいさつがわりに置いていく名刺もそうで、谷さんの名刺も忘れないように挟んでいた。だから配っていたわけではない」などと説明した。
 谷氏の回答については、「おおむね評価できる。ぜひとも進めていただきたい」と話した。