政財界や芸能界など幅広いジャンルのルポや小説を執筆している作家の大下英治氏(70)が、来年2月に「大賀蓮 世界に花開く」を発行する。大賀ハスを研究した故大賀一郎博士、弟子の故阪本祐二氏=元日高高校教諭=、さらに阪本氏の教え子で御坊生まれの政治家としてハスの外交や観光を進める二階俊博氏の3代に渡る一連の歴史を紹介。6日には御坊市薗にある故阪本氏の自宅を訪問し、妻弘子さん(82)から取材も行った。
 2000年の時を超えて現代に美しい花を咲かせる古代ハスの大賀ハスは、昭和26年に千葉県千葉市で実が発見され、当時関東学院大学非常勤講師だった植物学者の大賀氏が発芽、育成に成功。さらにその後の研究を託された愛弟子の阪本氏は、自宅のハス池で栽培し、純粋種の保存、継承に貢献している。そして、現在、二階氏が平和の象徴と言われるハスを使った外交や観光をアジア各国で展開しているという経緯がある。
 今回、大下氏の執筆は3年がかりで進めており、大詰めを迎えている。原稿は430㌻になる大作で、「ハスの育成は本当に大変。クリスチャンでもある大賀先生が非常に魅力的な人物であることを感じた。それを受け継いだ阪本氏も素晴らしい人物で、奥さんも頑張っていらっしゃる。二階氏については『外交の二階』であることをあらためて感じた。3代にわたる〝大河ドラマ〟となっている」と話している。阪本氏宅では、祐二氏の仏壇に手を合わせたあと、弘子さんから話を聞き、原稿のチェックなどもしてもらった。弘子さんは「私もこんな年齢になり、ハスの世話が大変になってきましたが、先日もボランティアで草引きをしてくれたんですよ」などと話していた。
 大下氏 広島県安芸郡府中町生まれ。広島大学文学部仏文科卒業。大宅マスコミ塾、週刊文春特派記者などを経て独立し、作家として活動。美空ひばりの評伝を執筆し、多くのひばり追悼特集テレビ番組に出演したこともある。これまで発行した著書は400冊以上。